朝、カーテンの隙間から差す太陽の光に目を覚ますと、女が俺の上に乗っていた。


 今日は日曜。子供、大人が一部の例外を除き、一週間の疲れを癒すべく、家で午前中を寝て過ごす日である。
 私立仰木学園中等部三年の俺、山柴有摩やましば・ゆうまもまた例に漏れず惰眠を貪っていた、のだが……。
 いきなりの展開に俺が唖然とするなか、女はこれでもかと言わんばかりに体をぴったりと密着させ、口を開く。
「おはよう、ユウぅ! 寝顔も可愛いし、寝言も可愛いし、着てるイヌ柄のパジャマもめちゃくちゃ可愛いよ! 愛してるよ!」
「……朝から騒ぐなよ、喧しいって。あとセリフの展開がおかしいくない?」
「騒ぐのは、ユウの咽かえるくらいのオスのにおいを嗅いでるから仕方ないよ! あと男の子は細かいことは気にしないこと!」
 我を取り戻し言い返した俺にそう言うや否や、女は顔を俺の体に近づけ、すんすんと鼻をひくつかせる。
 よだれをだらだら垂らし、恍惚とした表情でにおいを嗅ぎ続ける女に、俺は溜め息を吐いてからその頭に拳を落とした。
「みぎゃっ!」
「いつまでにおい嗅いでんだよ!? 変態さんか、おまえは!」
「おまえだなんて……もう、気が早いよユウぅ。そういうのは結婚してからじゃないと……でも良いよユウなら、いや、あ・な・た」
「そっちの意味じゃない! 断じて違うぞ! ていうか、姉弟は結婚できません!」
「えぇっ!」
 俺の方がえぇっだわ! 知らなかったのか!? 一般常識ですよ!?
 普通知ってて当然の一般常識に、サンタがお父さんだったと知ってしまった小学生のようなリアクションを見せる女――姉貴に俺は冷たく言い捨てる。
「そこをどけ。どっかの誰かさんのせいで目が完全に覚めちまった」
 ついでに俺の汗臭さにも気づいちまった。
「えぇ? やだよ! どいたらあのバカ東葉あずはのところに行くでしょ? そんなのお姉ちゃんが許しません!」
「なにが許しません! だよ。俺が姉貴を許さんぞ。あと仮にも妹をバカ呼ばわりするな」
 まったくこの姉は。
 俺は掛け布団ごと姉貴を押しのけながら立ち上がり、この良く言えば清潔な、悪く言えば殺風景な部屋で唯一目につく高級品――小さい頃、親にねだって買ってもらったミニコンポ――の元に行く。押しのけた掛け布団から姉貴の「くふぅ、良いにおいだよぅ。たまんない」なんて戯言が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。
 流れているのは最近のお気に入りバンドの曲で、その不思議な世界観にどこか引き寄せられるものがある。
 俺はしばらく聞き入っていたが、こないだ母さんが「電気代が……」なんて言っていたのを思い出し、泣く泣くミニコンポの電源を落とした。
 しかし俺から音楽を取ると何も残らないからな。することもないし、着替えて下行って飯食うか。
 そんな感じでこの後の予定を適当に決めると、俺はとりあえず着替えるために、悶えている姉貴を布団ごと部屋から閉め出し、鍵を掛けてからゆっくり着替えを始めた。


 下に行くと(ちなみに何故か姉貴は消えていた。俺の掛け布団ごと。ついでに姉貴の部屋から「ユウぅ、そんな、きちゃ、いやぁぁぁぁ!」なんて声が聞こえた)東葉あずはと兄貴、それに何故か朝っぱらからいる兄貴の彼女の雪乃ゆきのさんがいた。
 テーブルを見ると、空の茶碗があるから朝飯をちょうど終えた後のようだ。俺も食おう。
 とりあえず挨拶しようと思い、居間に足を踏み入れると異様な空気が流れているのに気付いた。
 背中から一気に冷や汗が出る。足を見ると震えている。
 俺はガクガク震える足から目を離すと、異様な空気を作り出している張本人たちを見た。
 いや、正確には作り出している二人と板挟みになって真っ青になっている哀れな子羊を見た。
「……ねぇ、そんなに頼北よりきたのことが好きなの? 東葉ちゃん」
「はぁ? 誰がクソ豚のこと好きになんのよ? あたしは人間だし、普通の男が好きなんですけど。いい加減にしないと、このクソ豚の前でめちゃくちゃにするぞ」
「ふ、ふたりとも落ち着いて? 朝から喧嘩はよくな「「頼北は(クソ豚は)黙ってて」」……はい」
 すげぇ。昼ドラみてぇ。
 俺が恐怖も忘れそんな感想を抱いていると、目が濁り切っている雪乃さんと若干にやついている東葉は、何故か頬を染めている兄貴を挟んで、口喧嘩をしていく。
「ク、クソ豚? 頼北のどこがクソ豚なの?」
「好きでもない人にケツ振ってる時点で、クソ豚決定でしょ」
 そう言ってにやにやしながら兄貴の腹を蹴る東葉。
 蹴られた箇所を押さえ、あぐ、と言って蹲る兄貴。
 その様子に激怒する雪乃さん…………かと思いきや、いきなり蹲った兄貴を仰向けに押し倒し、マウントポジションを奪ってしまった。
 そしてそのまま兄貴の首を絞める。
「うっ、く、苦しいよ雪乃」
「……ねぇ、頼北はわたしのこと好きじゃないの?」
「な、何言ってるの雪乃。僕は好きだよ。好きじゃないなんて東葉が考えた妄想――」
「……根岸さん」
「えっ?」
 心底言いたくないという顔をして雪乃さんは、ボソッと『根岸』なる名前を出す。
「一組の根岸さん。最近よく一緒にいるよね……」
「ちが、誤解だよ!」
「……へぇ、嘘つくんだ」
 いや、嘘じゃないと思いますよ? 兄貴はドMで変態だけど、雪乃さんのこと本気で好きだから。
 しかし、一般的男子中学生である俺に、こんな亜空間(男が女に馬乗りで首を絞められ、その首絞めに息を荒げ、さらに傍らにいる可愛い女の子がその様子をにやにやしながら見てる)で声をあげろというのが無茶な要求だ。ていうか誰にもできません。
 と俺が考えていると、
「もういい! 頼北を殺してわたしも死ぬ!」
 そう言って台所に走ってく雪乃さん。たぶん包丁でも取りに行ったのだろう。
 てか、彼氏の家とはいえ、人様の家ですよ!?
「ははっ、大変ね豚。早く止めた方がいいわよ、あの女、本当にアホだからやりかねないし」
 何を!? 何をやりかねないの!?
 ていうか、お前が原因だよ!? どんだけ人事なんだよ!
 俺が心の中で東葉にツッコんでいると、兄貴が蹲りながらも東葉を強く睨みつけた。
 よし、いけ! 長男の意地を見せろ!
 俺の(心の)声援を受け、兄貴はゆっくりと口を開く。
「東葉……」
「何? っていうか何御主人様を呼び捨てにしてんのよ豚。ちゃんと様つけろ」
「……東葉様」
「何、豚?」
「……」
「……早く言え。チャーシューにするぞ」
「……っと……」
「はぁ?」
「……もっと……」
「しっかり喋れ、豚ぁ!」
「はい! もっとこの卑しい豚をいじめてくださぁぁぁい!」
 そう言って土下座する兄貴。無駄の無い、美しい土下座だ。
 ってそうじゃない。
 今兄貴なんて言った?
「何、豚お前チャーシューになりたいの?」
「はいぃ! 東葉様の鞭でチャーシューになりたいですぅぅぅ!」
 おいぃぃぃ! 妹相手に何言ってんの!?
 てか、豚豚言ってっけど兄貴太ってないからね!?
「……へぇ、やっぱり浮気してるじゃない」
 ここで雪乃さんキタ―――!
 どうしよ、台所から出てきた雪乃さんは手に包丁を持っていた。
 しかも研いできたのか、刃が滅茶苦茶輝いている。
 あんなん、刺されたら死んでまうで。
 朝飯食う言うとる場合やない。
 思わず変な言葉づかいになった俺は、心の中で朝飯を食うことを一秒で諦めると、これからひぐらしの●く頃にもびっくりの惨劇が起こるであろう居間の扉をこれまた一秒で閉め、急いで玄関に行き、スニーカーを履いて外に出た。
 それから五秒後。
 俺が家から四〇メートルほど離れたところで、
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
 ……閑静な朝の住宅街に絶叫が響き渡った。


「はぁー、退屈だ」
 俺は今、駅前近くの賑やかな繁華街に来ている。
 ただいま午後二時。
 あの絶叫の後、めちゃくちゃ怖くなった俺は、全速力で家から離れ、この繁華街でCDショップで音楽聴いたり、朝食兼昼食をとっていたのだ。
 それなりに久しぶりのまともな休日を楽しんでいたのだが……
「……することない」
 そう、音楽しか趣味がない俺には時間が多過ぎるのだ。なんか遊ぶ予定とかあればな……。
 俺がそんなことを考えていると、
「ん? あれ、アリスじゃね? おーい、アリスぅ」
 ……大変イラつく声が聞こえてきた。
 周りの人がキョロキョロ辺りを見始める。たぶんこの人たちの中では、外国人の女の子がイメージされてんだろうな。
 でも……
「おい、アリスぅ、無視すんなって!」
 あー、聞こえない聞こえない。
「待てって、ア・リ・ス」
 そう言ってイラつく声の主は俺の肩にポンっと手を置く。  周りのギョッとした視線。当然だ、俺は男で純日本人だ……たぶん。
 とりあえず、周りの視線を確認し、痛い視線の元凶である後ろの友人――八重図孝太やえず・こうたに全力の右ストレートを振り向きざまに叩きこむ。
「ぐべらっ!」
「俺の名前はアリスじゃねぇ! ユウマだ!」
 ずしゃぁとすっ飛んで行く孝太に言い放つ。
 が、残念ながら孝太と書いて変態と呼ぶ以上どうしても黙らない。
「えぇ?? だって有得ないのアリに摩れるのスだろ? アリスじゃん」
「お前だけだ。初対面でそんな風に俺の名前呼んだのは、孝太へんたい
「えぇ?? 五人に一人くらいいるだろ」
 多すぎだろ! 外見からして一番言われねぇよ!
孝太へんたいのクセに偉そうにすんじゃねぇ!」
 俺は転がっている孝太の近くに行くと、「えっ!? ちょっと待って!? もう言わないから!」とかほざいてる孝太に踵落としを放つ。
「っぐは、り、理不尽だろ」
「お前に付き合ってる俺の方が理不尽な目に遭ってるんだよ!」
「ひでぇ!」
 何がひでぇ! だよ。お前の俺への呼び名の方がひでぇよ。
 そう、俺はこいつに会った日――つまり孝太が俺をアリスと呼んだ日から、学校では先輩だろうが後輩だろうが先生だろうが、みんな俺のことをアリスと呼ぶんだ。
 おかげで大半の人が俺の本名を「山柴有摩やましば・アリス」だと勘違いしてる。
 まったく迷惑な話だ。
「で、孝太へんたい。お前は何してたんだ?」
 こいつは変態だが、顔立ちも整ってるし、茶髪でチャラそうだが意外にまじめなところがあるから、男にも女にも人気がある。だから、一人で繁華街にいるなんて珍しいと思うんだが……。
「そうだよ! よく訊いてくれたアリス!」
 さっきまで俺から食らっていたダメージもなんのその、孝太は勢いよく立ちあがる。
「お前、ちょっと俺の買い物に付き合え!」
「あぁ?」
「旦那さま、お少しわたくしめの所用にお付き合いしてください!」
 俺の威嚇に耐えきれず、一秒で丁寧に言いなおす孝太。やば、東葉のドSがうつったかのかも。
「はぁ……まぁ、いいけど。で、なんの買い物だ?」
「それは行ってから言う! とりあえず、来てくれ!」
「は? あ、おい、ちょっ、引っ張んなよ! くされ孝太へんたい!」
「ひでぇな、おい! てか、へんたいって呼ぶのやめて!」
 こうして、俺は孝太の買い物に付き合うことになったのだった。


 ◆


 俺は今、我が家に帰るため、すっかり暗くなった住宅街を歩いている。
 時刻は午後七時。まわりの家からなんとも言えない美味そうなにおいが漂っている。
 
 ……あの後、俺はショッピングモールに連れて行かれた。
 行くとそこにいたのは魔女と超腐女子。
 二人はニヤっと笑って。俺を拘束して。それで、それで。


「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉおお! 俺は男で! つまりメイド服はぁぁぁ!? ……は!」
 数瞬トリップしていた俺はなんとか戻ってこれた。そして項垂れた。
 もういやだ。あの魔女と超腐女子め、ちくしょう。なにが女装させたいだよ。孝太も逃げやがって。
 頭の中でひたすら愚痴ってると、家が見えてきた。
 どうやら、体が早く休みたがっているらしい。ほんと、頑張ったよ……。
 玄関に着いた俺は、これからの予定を考えながら扉を開ける。
「ただい「お帰りなさいませ、ご主人様!」
「すいません、間違えました」
 扉を閉め、家から出る。そのまま急いで表札へ。
 うん、山柴だ。確かに山柴だ。ということは俺の家だ。じゃあ、なんでメイドが……。
 あれ、と首をかしげながらもう一度家に入る。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
 やっぱりいる。しかも満面の笑み。
 とりあえず、とてつもなく綺麗だ。長い茶色の髪は腰まで届き、目は大きく澄んでいる。顔のパーツも絶妙に配置されていて、まるで芸術品のようだ。さらに出るとこは出て、とても魅力的な体つきをしている。たぶん、世の男性方には堪らないんじゃないか? 俺はそうでもないけど。
 俺はメイド服を着て満面の笑みを向けてくる女に、少しばかり脱力しながら問いかける。
「……何してるの、姉貴」
「もう、姉貴って呼んじゃダメって言ってるでしょ? お姉ちゃんか静南しずな、もしくはお前って呼んで?」
「……じゃあ、お前」
「なに、あ・な・た?」
「やっぱり!? やっぱり、そういう意味!?」
 頭が痛いよ。まったくこの姉は。
「アホやってないで、家に入れてくれ」
「むぅ、アホじゃないもーん」
「わかった。アホじゃなくていいから、早く退いてくれ。抱きつくな」
「日本ではお姉ちゃんが弟に抱きつくのは、憲法で定められてるんだよ」
「憲法!? 無駄にスケールでかいな、おい!」
「そんなに褒めないでよー」
「褒めてねぇよ!」
「静姉! いい加減、有兄から離れてよ!」
 俺が姉貴に抱きつかれながらアホな会話をしていると、姉貴の後ろから不意に甲高い声があがった。
 その声に少しげんなりしながら姉貴の後ろを見ると、一人の少女が立っていた。
 いや、訂正せねばなるまい。
 一人の可愛い系の美少女が立っていた。あれ? 何か違和感が……。まぁ、いいか。
 姉貴と同じ艶やかな茶髪は、胸元までのセミロング。猫のように大きな瞳は、今は不満げに歪められており、ふっくら柔らかそうな唇も、今は不満そうだ。そしてそれらがこれ以上はない、とでもいうように整っていながらも愛くるしさ溢れる顔立ちは、姉貴への怒りで歪んでいる。
 つまり、その少女は大変怒っていらっしゃいます、はい。
 その怒っている少女は、メイド服を着て俺に抱きつきながら息を荒げている姉貴を睨みつけ、怒声を浴びせる。
「いつまでくっついてるの! これから有兄はボクとあっちの世界にイク予定なんだよ!」
 いや、そんな予定はない。
「何言ってるのかしら? 私のユウは私以外とそんなふしだらなことはしないわ」
 頬を染めるな。アンタともしないよ。あと、何でアンタは俺と話すときと他の人と話すときの差がそんなにでかいの?
「ふざけないでよ! 静姉にだけは絶対渡さないから!」
「ふん、あなたじゃ無理よ。あなたには私のユウを満足させられないわ」
「そ、そんなの分からないじゃないか!」
「わかるわ……嘘だと思うなら、その胸に訊いてみなさい」
 そう言って物憂げに溜め息を吐く姉貴。
 その悩ましげな表情と溜め息は妙に色っぽく、不覚にもドキッとしてしまった。
 慌てて目を反らすと、少女が胸に手を当てているのが見えた。
 ぺたん。ぺたぺたぺたん。
「ない……」
 でしょうね。すっとーん、だもん。
 そんな風に自分の胸に手を当て項垂れている少女に、姉貴は余裕綽々とした笑みを浮かべる。
 すげぇ、意地悪い顔ですね。
「そして……あなたにはもっともいらないものがある」
 そう言うと、姉貴はゆっくりと少女のある一点を指差した。
 姉貴の視線に従い、指差す場所に目を向ける。
 そこには――

 なにか、いや、ナニかもっこりしたものがあった。

 慌ててそのナニかを隠す少女……いや、小、年。
 てか……弟。
 その様子に機嫌を良くした姉貴がニヤニヤしながら口を開く。
「わかったかしら? 西夏さいか、あなたじゃ私とユウのあいだに入ってくることはできないのよ!」
「うぐ!」
「あらあら、どうしたのかしら? さっきまであんなに五月蝿かったのに」
「うぅ」
「まぁ、ユウは私がおいしく頂くから安心しなさい」
「!」
「所詮、あなたにはユウを愛するなんて一万年と二千年早かったのよ!」
「……」
 いや、流石にそれは……。あと、お前に食べられる気はない。
 そんなことより西夏を慰めないと……。
 そう思い、俺が俯いている西夏に向かって、口を開こうとすると、


「うるさいうるさいうるさい!」


 西夏が大声を上げた!
 それに反応し、俺も思わず「シャ●!?」って叫んでしまった。
 まさか西夏が炎髪灼眼の討ち手だったのか!? とアホなことを考えた俺を尻目に、俺たちに背を向け涙目で居間に走っていく西夏。
 居間の扉を開けながら、声を上げる。
「うぅ、東姉!」
 あーあ、姉貴大変だぞ。東葉は西夏のこと大好きだからなぁ。ボコボコにされちまうよ……。
 なんて姉貴に対し憐みの視線を向けると何を勘違いしたか、
「もう、後でいっぱい可愛がってあげるから、そんな目で見ないでよぉ」
 とくねくねしながら頬を染めて、俺を見つめ返してきた。
 いや、意味分かんない。それよりも……はぁ。
 俺はこの後の起こるであろう展開に頭を痛めながらも、もうどうしようもないので素直に居間に行こうと決めると、「ただいま」と声を掛けながら靴を脱いだ。


 
 結局その後、話を聞いた東葉が「糞アリス! てめぇが原因じゃねぇかぁぁぁぁああ!」と何故か俺にキレてドロップキックを放ったことで、俺の日曜日は終わった。つまり気絶して、起きたら月曜日だったというわけだ。
 ……理不尽だ。

 



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